歯科豆知識

歯科医院で治療を受ける際、院内感染のリスクを抑えるための衛生管理が不可欠です。治療時に使用する器具が患者さんの口腔内に直接触れるため、適切な滅菌・消毒や使い捨て器具の使用が必要となります。この記事では、歯科治療での感染予防策を詳しく解説するとともに、よくある質問に答えながら、患者さんが知っておきたい知識をご紹介します。

 

歯科治療での感染予防Q＆A

Q1. 歯科医院で使用する器具の「滅菌」とは何ですか？

 

A1. 滅菌は、治療器具に付着する細菌やウイルスを完全に死滅させるための方法で、感染リスクをゼロにするための重要なプロセスです。特に、口腔内に直接触れる器具（例：タービンやピンセット）は、感染源となりやすいため、患者さんごとに滅菌が必要です。

 

Q2. 滅菌に使用される機器にはどのようなものがありますか？

 

A2. 主に使われるのは、高圧蒸気滅菌器（オートクレーブ）とガス滅菌器です。オートクレーブは高温高圧の蒸気で全ての微生物を死滅させる方法で、多くの器具に対応可能です。一方、熱に弱い器具にはガス滅菌が行われます。これにより、器具の性質に合わせた滅菌が可能となり、治療器具が安全な状態で保たれます。

 

Q3. 滅菌された器具はどのように保管されていますか？

A3. 滅菌が完了した器具は、再汚染を防ぐために滅菌用ラップや滅菌パックに密封され、患者さんが使用する直前に開封されます。これにより、治療の際に清潔な器具が提供されます。

 

◦感染予防のための3つのステップ

滅菌：治療器具の完全な微生物除去

概要：滅菌とは、器具に存在する全ての細菌やウイルスを完全に死滅させる工程であり、特に口腔内に直接触れる器具には欠かせないプロセスです。

滅菌方法：高圧蒸気滅菌器（オートクレーブ）やガス滅菌器が使用され、器具ごとに適した滅菌方法で処理されます。

滅菌対象例：タービン、ピンセット、ミラー、バキュームチップなど。

 

消毒：日常的に行う感染予防策

概要：消毒は、器具や表面に付着した細菌やウイルスを減少させるための方法で、滅菌ほどの殺菌力はありませんが、感染リスクを軽減します。

消毒箇所：診療台、治療用テーブル、待合室の椅子、トイレなど。

頻度：来院ごとに消毒を行い、患者さんが清潔な環境で治療を受けられるよう徹底しています。

 

使い捨て器具：安全で清潔なシングルユースアイテム

概要：使い捨て器具は、患者さんごとに交換することで再利用のリスクを排除し、衛生管理が徹底されます。

使い捨ての例：注射針、ガーゼ、ゴム手袋、マスク、紙コップ、エプロン。

メリット：感染予防を最大化し、患者さんが安心して治療を受けられるようにします。

 

◦衛生管理と環境配慮を両立する取り組み

Q4. 歯科医院では再利用する器具の管理はどうなっていますか？

A4. コストや環境配慮から、使い捨てが難しい一部の器具は再利用されますが、患者さんごとに必ず滅菌処理を行い、専用パックで密封して保管されます。来院時にパックが開封されることで、再汚染のリスクを防いでいます。

 

Q5. 環境にも配慮している歯科医院を選ぶポイントはありますか？

A5. 使い捨て器具と滅菌処理を併用し、環境に配慮した衛生管理を行う医院が増えています。例えば、再利用器具の適切な滅菌や、エコ素材を使用した使い捨て器具を導入している医院など、持続可能な医療環境の実現に取り組んでいるかどうかが選択の基準となります。

 

◦安全な歯科医院を選ぶためのチェックポイント

 

Q6. 安全な歯科医院を見極めるにはどうすれば良いですか？

A6. 衛生管理の徹底度を確認するために、以下のポイントをチェックすると良いでしょう。

ホームページやパンフレットの記載：滅菌、消毒、使い捨て器具に関する情報が明記されているか。

来院時の確認：治療器具が滅菌用ラップや滅菌パックに入っているか、または消毒が適切に行われているかを目視で確認。

衛生管理の質問：医院スタッフに「滅菌方法」「消毒の頻度」について尋ねることで、安心して治療が受けられる医院か判断できます。

 

◦よくある質問まとめ

Q7. 全ての歯科器具が使い捨てなのですか？

一部の器具は再利用されていますが、全て患者さんごとに滅菌処理が行われているため、清潔な状態が保たれています。

 

Q8. 消毒と滅菌の違いは何ですか？

滅菌は全ての微生物を死滅させるプロセスで、主に器具に行われます。消毒は微生物の数を一定レベルまで減少させるため、診療台や椅子などの表面に対して行われます。

 

Q9. 使用後の使い捨て器具はどう処理されていますか？

使用済みの使い捨て器具は医療廃棄物として厳格に処理され、一般ゴミとは別に適切に廃棄されています。

安心できる歯科医院選びのためのまとめ

歯科医院では、患者さんが安全に治療を受けられるように、徹底した滅菌・消毒・使い捨て器具の使用と、再利用器具の厳格な管理が行われています。衛生管理の徹底度は、医院の信頼性に直結するため、医院のホームページやパンフレット、来院時の確認を通じてしっかりとチェックしましょう。

 

医療法人隆歩会　ピノデンタルオフィス枚方長尾
院長　日野卓哉　監修