舌は、口腔内の環境を支える重要な器官です。適切な舌の位置は、口腔内のバランスを整え、歯並びや呼吸に直接影響を与えます。理想的な舌の位置とは、舌先が上の前歯の裏側にある「スポット」と呼ばれる部分に軽く触れ、舌全体が上顎(口蓋)に接している状態です。この姿勢を保つことで、様々な健康上の恩恵が得られます。
口呼吸の影響
口呼吸は、口腔内の乾燥を引き起こし、虫歯や歯周病、さらには口臭の原因となることがあります。また、鼻腔を通らない呼吸は、空気の加湿や異物の除去が不十分になるため、体内に取り込まれる空気の質が低下します。
鼻呼吸の健康効果
鼻呼吸は、空気を加湿・加温し、異物を除去するフィルターの役割を果たします。これにより、気道が保護され、全身の酸素供給が効率的に行われるため、集中力や免疫力の向上、さらには安定した睡眠が期待できます。
舌が適切な位置にないと、睡眠時に舌が気道を塞ぎやすくなり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まります。この状態は、睡眠中の呼吸が断続的に止まることで、睡眠の質が低下し、日中の疲労感や集中力の低下を引き起こします。
舌が正しい位置にない場合、歯並びに様々な悪影響を及ぼします。
上顎前突(出っ歯)
舌が前方に押し出される癖があると、上の前歯が外側に傾き、上顎前突、いわゆる出っ歯が生じやすくなります。
開咬のリスク
舌が前歯の間に挟まる形で押し出されると、上下の前歯が噛み合わない開咬(オープンバイト)が発生します。
歯列の不整合
舌が上顎に正しく接していないと、歯列全体のバランスが崩れ、歯が不規則に並ぶ原因となります。
矯正治療を受けた後でも、舌の位置が適切でなければ、歯並びが再び乱れる「後戻り」が起こるリスクがあります。そのため、矯正治療後のケアとしても、舌の位置を正すことは重要です。
イギリスの歯科医ジョン・ミュー博士によって考案された「Mewing(ミューイング)」は、舌全体を上顎に押し付けた状態で鼻呼吸を行うトレーニングです。この方法は、歯並びや顔の骨格の改善に効果があるとされ、世界中で注目されています。
無糖ガムを噛みながら舌を上顎に押し付けることで、舌の筋力を鍛え、正しい位置を維持する感覚を習得できます。このトレーニングは、日常生活の中で簡単に実践できるため、特に忙しい方にもおすすめです。
舌先を「スポット」に軽くタップする練習を繰り返すことで、舌が自然とその位置を記憶します。このトレーニングは、正しい舌の位置を意識する初期段階に適しています。
専門家による舌の筋力トレーニングで、舌と口周りの筋肉のバランスを改善することも効果的です。このセラピーは、歯列矯正や呼吸改善の補助として広く利用されています。
歯並びや呼吸の問題に対処するためには、歯科医や矯正歯科専門医のサポートを受けることが効果的です。私達歯科医師はの位置を改善するためのカスタマイズされたアプローチを提供してくれます。また、個々の症状に応じて、必要な治療やトレーニングを提案致します。
舌の正しい位置を保つことは、歯並びの安定化や呼吸の質の向上に欠かせません。日常生活で舌の位置を意識し、適切なトレーニングを取り入れることで、口腔内の健康を長期的に維持できます。専門家の助言を活用しながら、健康的な口腔環境を整えましょう。
医療法人隆歩会 ピノデンタルオフィス枚方長尾
院長 日野卓哉 監修
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
午前 | ● | ● | ● | ─ | ● | ● | ─ |
午後 | ● | ● | ● | ─ | ● | ● | ─ |
午前:9:00~13:00
午後:14:00~18:00
※祝日がある週の木曜は診療しております。
休診日:木曜・日曜・祝日